長年ゴルフの祭典「マスターズ」の解説をされてきた兄弟子、中嶋常幸プロが今年を最後に解説を引退されるという記事を読み、思うところがあった。

常幸プロがマスターズに初出場した時の話は研修生時代、常幸プロのお父様である師匠から聞いていた。
当時私はゴルフのことは何も知らなかったので師匠の話を物語のように聞いて想像を膨らませていた。
23歳でマスターズから招待を受けるということは偉業。
父子鷹と言われその偉業に対して師匠にも取材があり、その時敢えて「常幸はマスターズで優勝する」と豪語したらしい。
しかし、13日の金曜日13番ホール13打叩いた話をした時、「ゴルフの神様は本当にいるんだと思った。」と師匠は言った。
師匠からは、強気な姿勢や気持ちは大事だが常に謙虚な気持ちでゴルフに向き合えと教わってきた。
ゴルフ場に落ちているゴミや雑草をいつも自ら拾って巡回していた。
私たち研修生にも常に「日頃の行いがゴルフの成績にも出る」と教えてくれていた。
そして研修生専用アプローチグリーンをマスターズのガラスのようなグリーンに仕上げるぞ、と言って私たちに芝刈りの技術を沢山教えてくれた。
そして今回常幸プロの記事を拝見して、改めて親子で共に戦ってきたんだと感じ、熱い想いが私の中にも込み上げてきた。
師匠がゴルフ場の造成、メンテナンスを自ら手掛けていたのは常幸プロがいつ来てもいい様にしていたのではないか、と想像したからだ。
師匠が他界したあと、オフトレで東松苑を訪れた常幸プロは長いスランプの途中だった。
その時私が目にしたのは、黙々と丁寧にアプローチの練習を何時間も確認するようにしていたり、朝から東松苑の裏山をトレッキングし体を疲れさせてから打ち込み、ラウンドをこなしている姿だった。
トーナメントの最終日を予想してわざと体を疲れさせた状態でラウンドしていると常幸プロが教えてくれた。
私はこの時、トッププロは優勝争いを想定してそんな練習もするのか!と感銘を受けたのだったが、今回それが全て86年の「マスターズ」最終日にサンデーバック9を戦える余力がなかった経験からだと知った。
師匠から「一流の努力をし続けろ」と最期に言われたのは、こういう事だったのか、と背中を見せてくれたように感じた。
私がゴルフをはじめて30年。
長い月日を経て色々なエピソードが繋がり中島ゴルフの真髄を知れたことが今回、私にとって大きな気づきだった。
これからのゴルフ人生にも大きな意味を成すと感じている。
今年のマスターズは、プレーと共に常幸プロの解説の集大成を味わいたいと思う。
マスターズ 日程 2025年4月10日-4月13日
第1日 4月11日(金)あさ4時00分〜8時20分
第2日 4月12日(土)あさ4時00分〜8時00分
第3日 4月13日(日)あさ4時30分〜8時30分
最終日 4月13日(日) 深夜0時25分〜あさ8時20分(*延長あり)
コメンタリー
【解説】中嶋常幸 / 芹澤信雄 / 宮里優作
【ラウンド解説】今田竜二
【実況】小笠原亘 / 伊藤隆佑
【現地リポート】喜入友浩
https://www.tbs.co.jp/masters/
コメント